Geoge A. Akerlof, Robert J. Shiller [2009] アニマルスピリット-Animal Spirits

経済学の主流ではあまり取り入れられてこなかった、感情・先入観・バイアスによる認知の錯誤がもたらす経済への影響を、具体的な事例をもとに解説したのが本書だ。

本書の中ではアニマルスピリットとして、具体的に以下の5つについて解説している。
・安心、または不安が好不況のブレを加速させる
・公平さが賃金や価格の決定に影響する
・金融制度の進化によって、ときとして腐敗と背信行動が発生し、それを行うことが合理的になる
・貨幣錯覚がインフレやデフレの影響を間違って認識させる
・自分が何者で、何が起こっているのかという感覚は物語として経済で重要な役割を果たす

これらのアニマルスピリットの概念を基似、下記の8つの問いに対して理論的な説明を加えている。

第6章 なぜ経済は不況に陥るのか?
第7章 なぜ中央銀行は経済に対して(持つ場合には)力を持つのか?
第8章 なぜ仕事の見つからない人がいるのか?
第9章 なぜインフレと失業はトレードオフ関係にあるのか?
第10章 なぜ未来のための貯蓄はこれほどいい加減なのか?
第11章 なぜ金融価格と企業投資はこんなに変動が激しいのか?
第12章 なぜ不動産価格には周期性があるのか?
第13章 なぜ黒人には特殊な貧困があるのか?

目次より

一般人が普通に本書を読むと、当たり前のことが延々と書かれていて不思議に思ってしまうかもしれない。

あとがき p.273

世の中で、上記の8つの問いが起こるのは当たり前だろう。だが、なぜ起こるのかに対する理解を深めるのに、本書は役に立つだろう。