お知らせとお願い

諸事情により、はてなとBloggerを並列で更新しておりましたが、本日よりBloggerに一本化することに致しました。RSSリーダなどで登録を戴いている読者の方(もしいらっしゃれば)は設定を変更していただけると幸いでございます。新しいBlog:hiruwagakusei今…

角田泰隆氏講演:「如何に生きるべきか:仏教が説く実践哲学と禅僧道元の人生訓を中心に」

本講演は、2つの気付きを与えてくれた。一つは、仏教の世界観は、世界を「複雑なシステム」として捉えたときに、非常に合致する見立てを与えてくれているということ。もう一つは、禅僧道元の教えと自分が今までいろいろな機会を通じて学んできた自己マネジメ…

成長・幸せの複利計算

アル・ゴアの元スピーチライターでベストセラー作家のダニエル・ピンクの最新刊は「Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us 」。「Drive」はモチベーション(動機付け)の心理学についてのノン・フィクションです。 「Drive」の肝は、モチベー…

Geoge A. Akerlof, Robert J. Shiller [2009] アニマルスピリット-Animal Spirits

経済学の主流ではあまり取り入れられてこなかった、感情・先入観・バイアスによる認知の錯誤がもたらす経済への影響を、具体的な事例をもとに解説したのが本書だ。本書の中ではアニマルスピリットとして、具体的に以下の5つについて解説している。 ・安心、…

松岡正剛 [2000] 知の編集術

本書は千夜千冊で有名な著者の「編集工学」の入門書だ。●編集とは(p.75) 編纂(compile): すでに存在する情報同士の相互関係を定義することである。つまり、情報の要約、集束に相当する。編集(edit): 特定の情報を素材として、自由に他の新しい情報とを関連…

山下和也 [2004] オートポイエーシスの世界―新しい世界の見方

オートポイエーシス (autopoiesis) は、1970年代初頭、チリの生物学者ウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・バレーラにより、「生命の有機構成 (organization) とは何か」という本質的問いを見定めるものとして提唱された生命システムの本質に迫ろうとす…

Paul Krugman [2000] 良い経済学 悪い経済学

本書は、元の題名”Pop Internationalism”のとおり、国際的な経済問題について、非常にわかりやすく解説をしている。あとがきの解説に「経済学を学ぶ目的は“エコノミスト”に騙されないで自分の頭で考える力をつけることである」とあるが、そのための入門書と…

西水 美恵子 [2003] 貧困に立ち向かう仕事

プリンストン大学の経済学部の助教授から、世界銀行へ、というキャリアを進んだ西水さんの著書。「現場を体感する」ということの大切さを再認識させられた。他にもこの本の大きな収穫は以下の二つだった。 Educate a boy, you educate a human being. Educat…

学習パターン

『Learning Patterns』(PDF版)のダウンロード2009年4月、慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部では、全学生を対象に、冊子『Learning Patterns: A Pattern Language for Active Learners at SFC 2009』が配布されました。ここでは、その冊子のPDF版をダ…

Kevin Kelly [1999] 「複雑系」を超えて

さまざまな「複雑系」(wikipedia)について、The techniumの著者で著名な研究者?であるKevin Kellyが紹介と考察を行ったのが本書だ。複雑系とは、極めて多数の要素からなり、それぞれの要素間の相互作用が存在するため、従来の還元主義的な(ものごとは部分の…

ジャック・アタリ [2008] 21世紀の歴史

いかなる時代であろうとも、人類は他のすべての価値観を差し置いて、個人の自由に最大限の価値を見出してきたp.19序文-21世紀の歴史を概観する 前半部では、まず過去の歴史を振り返る。1200年代のベルギーの中心都市、ブルージュから始まり現在のロサンジェ…

猪木武徳 [2009] 戦後世界経済史

本書で著者は,戦後経済を読み解く視点として下記の5つを挙げ,ともすると発散しがちな戦後の世界経済史を350ページ強にまとめている.・市場の浸透と公共部門の拡大 ・グローバリゼーションと米国の時代 ・所得分配の不平等 ・グローバル・ガヴァナンス ・…

NPOの発展モデル

10月26日,第3回 共生・地域文化大賞というNPOコンテストを観覧してきた.そこで,9つのNPO法人を一覧し比較することで,NPOの発展の段階が4つに分類できるのではないかとの示唆を得た.その詳細を以下で述べたい. NPOにはStakeholderとして、リソースの保…

Google ReaderのNote in Readerがあればはてブはいらない

Google Readerで毎朝RSSでニュースやブログを回覧しているため,情報をなんとかしてそこに一元化したかった.いままでは, RSS以外の情報で,短いものはEvernote,ページ全体は,はてブ RSSの情報はGoogle Reader を利用していた.しかし, Google Shared It…

湯川秀樹, 梅棹忠夫 [1967] 人間にとって科学とは何か

本書は,ノーベル賞学者の湯川秀樹と,『知的生産の技術 (岩波新書)』でも有名な梅棹忠夫の対談本である.1960年代後半の段階で,計算機による情報伝達における,情報の「意味」について考えていたり,「関係」を対象とする科学の出現を予言したり,両氏の先…

菅 正広 [2009] マイクロファイナンス-貧困と闘う「驚異の金融」

本書では,グラミン銀行をはじめ,世界各国のマイクロファイナンス事業を紹介し,それらの事例から日本国内の貧困を解消するために実施可能な方策を提案している.「レモン問題」とは,財・サービスや取引の内容に関する情報が買い手によく知られていないた…

ムハマド・ユヌス [2008] 貧困のない世界を創る

貧困にあえぐ人々を,融資の借り手自身の力によって貧困から脱出させる「マイクロクレジット」という仕組みを構築したグラミン銀行の創立者,ムハマド・ユヌス氏の著書だ.読んでいて興奮した書籍は久しぶりであった. マイクロクレジットの効果1983年,村の…

羽根のない扇風機-Dyson

サイクロン掃除機で有名なDysonがまたやってくれた.同社の「Dyson Air Multiplier」は従来の扇風機とは違って羽根がなく、土台に輪を乗せたような形になっている。従来の扇風機は、羽根が空気を切ってしまい、空気の流れが不均衡になる点が問題だった。Dyso…

Excelによるデータ解析講座:データシートの作成

データベースとなるExcelファイルは,以下の3つのシート群からなる.1.生データ 2.集計結果 3.サマリー記入のルールとして,以下のルールを適用する ・文字色 赤色:入力値(予測値,サポートするファクトがなく,変更の可能性あり) 青色:入力値(実…

T・バトラー=ボードン(著)米谷敬一(訳)[2008] 世界の心理学50の名著

研究で、社会心理学的な知見を必要とするので手に取ってみた。現代心理学理論辞典とはことなり、学問としての心理学にこだわらず、ダニエル・ゴールマンの『ビジネスEQ』から、スタンレー・ミルグラムの『服従の心理』まで、ここ100年位に書かれた欧米の名著…

CouchCurfing

世界231カ国約1400万人が登録している、こんな面白い非営利組織があります。これは、登録者限定ネットワークの中で、自宅に素泊まりさせてあげる・もらうという世界サービス。 『こんなドキドキワクワクの楽しみ方もアリか!?CouchSurfin…

理想的な機械設計プロセスとは

語句の説明要求仕様とは,受注元からの要望のことで,具体的設計値に落とし込まれていない場合が多いため,設計前に,要求仕様を設計値に落とし込むことが必要になる. 設計仕様とは,要求仕様や制約条件,及びコンセプト(作り手の要望)から派生する仕様の…

グレゴリー・クラーク(Gregory Clark)著,久保恵美子 訳 [2009] 10万年の世界経済史(上)(下)

ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』では、各大陸の進化の違いは、偶然の地理的要因によるとした。本書では、そこで取り扱われなかった経済的活力の違いに焦点を当てている。上巻では、産業革命によってマルサスの罠(食糧生産は等差数列的に増加す…

現代心理学[理論]辞典

辞典というものは、基本的に情報の羅列だ。検索というシステムがなければ成り立たない。しかし、この辞典は、各分野における心理学の理論を網羅的に取り扱っている。一章を順に読むことで、その分野の全体像をつかむことができる。心理学の概要をつかむのに…

ナシーム・ニコラス・タレブ(著),望月衛(訳)[2009] ブラック・スワン(下)

ほとんどのリスク予測に欠陥があると認めるならば,取るべき戦略は可能な限り超保守的かつ超積極的になることだ.実生活においては,有利な結果が生じたときの方が,不利な結果が生じた時よりもずっと大きい非対称な状態に自分を置くのである.まさにVantage…

ジャレド・ダイアモンド(著),楡井 浩一(訳)[2005] 文明崩壊(上)(下)

前著『銃・病原菌・鉄』では,大陸や地域ごとの進化のスピードの違いを,環境要因の面から考察し,与えられた環境における些細な差異が,数千年後の文明・技術の発展における大きいな違いを生むと述べていた.本書では,環境要因の中でも,その破壊が人間生…

モチベーションと成果

モチベーションと成果の関係について,二つの視点から動画と記事を最近読んだので,紹介する.一つ目の視点は,報酬によるモチベーションと成果の関係だ.心理学実験によって,これをしたらあれをもらえるという動機付けは,ルーティーンな作業にしか有効で…

ジャレド・ダイアモンド(著) 倉骨 彰(訳)[2000] 銃・病原菌・鉄(上)(下)

なぜ,スペイン人がインカ帝国を征服し,逆は起こり得なかったのか. その原因は,環境要因が各大陸によって異なるからだと著者は述べる.その中でも最も重要な違いを以下の4つの事実にまとめている. 1)栽培化や家畜化の候補となり得る動植物種の野生種の分…

キーメッセージと感受性

頭がわるいとかではなく、感受性がよわい 「いま勉強中です」とか「いろいろ教えてください」とか口ではいいながら、いつまでたっても成長しない人がときどきいます。たしかにそういう人は勉強していたり、いろんな人に教えてもらったりしていたり努力はして…

冷房病:人間とエアコンの協調

もう,夏の夜の寝苦しさにさいなまれることも少なくなったが,熱帯夜,夜寝るときにクーラーをつけていると,朝起きた時に体調が悪い.冷房病の一種だろう.これほど技術が進歩した世の中で,冷房病が無くならないのはなぜか.技術的に解決できない問題では…