NPOの発展モデル


10月26日,第3回 共生・地域文化大賞というNPOコンテストを観覧してきた.そこで,9つのNPO法人を一覧し比較することで,NPOの発展の段階が4つに分類できるのではないかとの示唆を得た.その詳細を以下で述べたい.

NPOにはStakeholderとして、リソースの保持者とニーズの保持者、およびNPOの3者が存在する。
●資源の保持者:物品・資金の提供を行う者や,労働を提供できる者等である.
●ニーズの保持者:それらのリソースを必要とするが,財政的・能力的・時間的にそれらのリソースにアクセスすることが困難な者である.
NPO:行政の施策が不十分なニッチな市場に着目し,上記のギャップを埋める役割を果たす.

そうしたNPOの発展の段階は以下の図に示すように,4つの"S"に分けられる.

段階1:Separated
資源とニーズが分け隔てられており、NPOによる継続的仕組みの構築が求められている段階である。規模の経済に寄りビジネスを行っているところでは,必ずサプライ・チェーンの無駄が生じる.その無駄の削減というニッチな市場に対して,NPOの活躍が望まれている.

例:例えば,食品の加工メーカでは作りすぎたお菓子があまっているが,一方でおなかをすかした生活弱者が存在するといった場合である.


段階2:Shared
資源とニーズの間の架け橋として、NPOが継続的仕組みを構築した段階である。

例:フローレンス(http://www.florence.or.jp/)は保育所では預かってもらえない病児保育というサービスを,主婦層の労働力を駆使し,首都圏で展開している.


段階3:Synergy
資源を保持する者とニーズを持っている者の2者間で、互いに相互作用を及ぼし、相乗効果を生み出している段階である.

例:このゆびとーまれ(http://www.geocities.jp/kono_yubi/)は赤ちゃんからお年寄りまで、障害があってもなくても一緒にケアする活動方式を採用し,本来であれば世話をされる側であるお年寄りが子供の相手をして面倒を見るという,相乗効果を生み出している.


段階4:Synchronized
資源を保持する者とニーズを持つ者の区別があいまいになり,3者以上の間で付加価値プロセスのサイクルが回っている段階である.

例:グラミン・ダノン(紹介記事:http://bopstrategy.blogspot.com/2009/07/blog-post_09.html)は,グラミンバンクを利用した農民が乳牛を飼い,その乳をグラミン・ダノンの工場に持ち込み,ヨーグルトにする,そしてそのヨーグルトをヨーグルト・レディーたちが売る,という好循環を発生させている.



段階1から2の間の壁:Sustainability
NPOが提供する仕組みの持続可能性(維持費に見合うだけの利益)が求められる.つまり初期投資の削減が必要となる.

段階2から3の間の壁:Scalability
NPOが提供する仕組みの,スケーラビリティ,つまり拡大した際に必要となる変動費を低く抑える仕組みが求められる.

段階3から4の間の壁:Sympathy
この段階は,よくわからないが,共感を呼びこむような社会的インパクトが必要なのではないかだろうか.


参考:
BOP (Bottom of Pyramid)を対象とした事業を5つに分類していた。『営利と社会性をめぐる企業観』BOP戦略研究フォーラム