なぜある主張は10年早かったと言われるのか

10年早かったと言われる原因を,伝え手側か受け手側に分類してみる。

伝え手側の原因
・論理の展開に飛躍がある
・証拠が不足している
・前提が当時受け入れられないものだった

受け手側の原因
・環境,知識,経験などの先入観にとらわれている

このようなものが考えられる。だが,10年早かったと言われる原因は,再現性を担保しやすい「科学」の世界と,それ以外の社会に行く末に対する主張とでは大きく異なるだろう。今回はリアル社会の話に限って推測してみる。

10年早かったと言われる主張は,当時に大多数の人が持っている先入観(知識の文脈)とかけ離れている。その時,伝え手はそのギャップについての考え方として
(1)そもそも考えていない
(2)超える努力をしようと思っている(ができなかった)
(3)超える必要がないと思っている(大多数に理解される必要がないと思っている)
の3つのうち,(3)を選んでいるのではないか。

伝え手が少数の伝えたい人にだけ伝わればよいと思う理由はこうだ。ある人が10年先を予想でき,それが実際に起こると確信を持っていれば,それでひと儲けができる。だから,自分の価値を理解してもらえて,それが自分の利益になる人にだけ伝わればよい。そして,それ以外の人に「差異化」できる部分を公開するインセンティブはないからだ。

でも実際は,その主張自体が誤っていることが多いように感じる。