はてなとグーグルの違い−情報と知識の違いから

グーグルが情報を秩序付けた後には,知識を何らかの方法で秩序づけるのではないか。これについて考えてみたい。
まず,グーグルとはてな,それぞれのミッションとアプローチを自分の理解に基づいて記述してみる。

グーグルのミッションは「世界中の情報を組織化し、どこからでもそれにアクセスでき、有益なものにする」(Organize the world's information and make it universally accessible and useful)ことだ。また,グーグルの社員は,「世界政府っていうものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。 それがグーグル開発陣に与えられているミッションなんだよね。」と言ったらしい。アプローチは世界政府が行うということ,つまりトップダウン形式だ。

それに対して,はてなのミッションは「ネットを利用される皆さんの生活を「より豊かで楽しく、そして便利にしたい」という想い」らしい。そのアプローチは人力検索に代表されるボトムアップのアプローチだ。

さて,人は何かを知るとき,「情報」を得ようとする。だが,何かを学ぶときは,「知識」を得ようとする。ここで言う「情報」とは,何らかの「意味」であり,言葉や映像などの媒介を通して伝達されうるもののこと。「知識」とはあるテーマのもとに関連付けられた体系的な情報のことだとする。

情報すべてにインデックスを付け,コストゼロで検索できるようにすることだけが,組織化ではない。情報すべてにインデックスを付けた後には,「アクセスし,有益なものをユーザーが学ぶために」情報を体系化して知識に昇華させることが必要になるだろう。その際,世界政府的トップダウンのアプローチでは限界がある。人の行動をすべてトラッキングし,そこから暗黙知をすべて数値化できれば,話は別だろうが,そうなるのはまだ先だからだ。そこで,情報を知識化するにはネットを使うすべての人の力を利用するボトムアップのアプローチが有効になる。

ボトムアップアプローチではノイズの定義と処理が課題だが,オープンなプラットフォームが普及し,ネットユーザーが情報発信に慣れてきた今,「情報」を体系化した「知識」をネット上で組織化することが可能になっているのではないか。「知識」の組織化の一つとして,自分の精緻なMBAカリキュラムが役立てばいいと思う。