手順と方法の違い−手順化すべきか,手順化が適切かを問う必要

『経験と方法』DESIGN IT! w/LOVE
方法自体を使えるようになるのに、まず経験がいるし、経験なしでは方法そのものを理解できないし、使えないということが多い

『デクステリティ 巧みさとその発達/ニコライ・アレクサンドロヴィッチ・ベルンシュタイン』DESIGN IT! w/LOVE
ここがいわゆるテンプレートと型の違いだと思います。公式や決まり文句を期待するテンプレートの発想と、練習によって組み立てプロセスそのものを取得する 型の発想は似ているようで違います。テンプレートは条件反射的にいつでも考えずに同じ反応しか返すことができませんが、組み立てのプロセスの習得である型 はそれを身につけることで状況に応じた巧みな反応を可能にします。

手順(例えばチェックリストやマニュアルなど)とは何をするかである。(what)

方法(「型」というのもこれに当てはまるかもしれない)とは,ものごとをどのようにするかである。(how)

手順は「なに(what)」をするかなので,文章化などの形式知化が簡単だ。それに対して,方法は「どう(how)」するかなので,人に伝えうる形にまで落とし込むのは難しい。だから,チェックリストやマニュアルだけでは,複雑な作業になると同じ成果を生み出せない場合が多い。

だからと言って,手順を持つことに意味がないわけではない。方法を極め,自分の型を作る過程で,手順化(ルーティン化)できることも多い。手順化できれば,その作業に必要な時間を減らして,より思考を必要とする行為の経験を蓄えることに時間を費やせるようになる。

ただ,行為を手順化すると,その行為自体について評価することが難しくなる。その行為を達成することが目的になってしまうからだ。だから,人を相手にした仕事の場合,ルーティン化してしまってもよいのか,という問いを立てることが大事だ。これは『人を相手に仕事をすること』にも関係する。

また,Inputに見合う成果が得られているか,手順化したことが陳腐化していないかをチェックする機会を持つことが大切だ。時にはやめることも必要だ。


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