ビジネスプラン攻略法

明日から京都大学VBLグローバルリーダー育成カップ2009が開催される.

自分は出場しないのだが,ビジネスプランコンテストに関して,非常にためになる心得をある方から伺ってきたので,まとめてみたい.
(注:特に2泊3日,3人即席チームで競われる上記ビジコンのようなものを対象にしているので,一般化できない部分もある)


1.参加前の心得

参加前に重要なことは,情報収集である.収集すべき情報は,コンテストの審査基準だ.当たり前だが,ビジネスプランコンテストは,実際のビジネスと違って,審査員が審査する.ということは,審査員の採点表の項目とその基準さえわかってしまえば,高得点を取ることは容易い.

その基準を推し量る方法は3つある.一つ目は,コンテストのテーマだ.お題が前もって与えられていれば,それに即した内容かどうかが評価基準となる.二つ目は,コンテストのプログラムだ.(2008年度のプログラム)プログラム中に新規事業立ち上げや,ファイナンスなどの講義があれば,それが評価基準になるとみなしてよい.三つ目は,審査員のバックグラウンドだ.教授ならばその専攻の,民間ならばその業種に特化した部分を重視しやすい.
これらの情報は,ネットや昨年度の出場者にヒアリングすることで,ある程度集めることは可能だ.

また,本コンテストのように,3人が即席チームを組む必要がある場合,議論に費やされる時間は大幅に左右する事前のネタの仕込みも重要だ.例えば,イノベーションジャパン
日本イノベーター大賞ベストベンチャー100などのサイトで,実現可能性の高いシーズから,普及一歩手前のイノベーションまで,アイデアの種を拾うことができる. 実現可能性は重要な要素なので,自分に確固たるプランがない場合は,思いつきのアイデアに頼るのではなく,既存の技術シーズやサービスの新しい使い方や仕組み,組合せを考えるという方向性のほうがよいだろう.


2.コンテスト中の議論の心得

ビジネスプランコンテストでは,アイデアの新規性だけでなく,その実現可能性までも問われている.それを説得的に審査員に伝えるためには,詳細を詰めることにどうしても時間が必要である.

即席でチームを作る場合は特にそうだが,短期間のビジコンでは,アイデア出しの議論に時間を取りすぎて,詳細を詰められないということがよく起こる.それを防ぐためにも,議論の方法について一番初めにチーム全員で合意しておくことが重要だ.例えば,タイムラインを決めることや,意思決定の責任者を決めておくことで,議論が錯綜したときにも,きちんと時間配分を行えるようにしておいた方がよい.


3.プレゼンテーションの心得

プレゼンテーションで注意すべきは,全体の整合性と,論理的・感情的な面白さだ.たとえアイデアが面白くても,実現可能性の検討が不十分であれば,それは落選してしまう.また,魅力的なプレゼンで,聴衆の心を奪う,という戦略も考えられるが,プレゼンの見栄えだけでの勝負は,リスクが大きい.もちろん,プレゼンで聴衆を圧倒することも必要だが,堅実に勝負するためには,全体に整合性を持ち,理解しやすい順序で適度に詳細な情報を伝えるべきだろう.

事実や分析の正確性は,事細かに審査する余裕はないはずなので,そこまで追求しなくてよい.ただ,審査員に(1)興味をもたせ,(2)理解してもらい,(3)共感を生み,(4)選んでもらう,というプロセスのうち,特に(3)が鬼門になることが多いので,プレゼンの際には,実行可能性を検討する上で重要な「未解決の問題」をこちらから提示するという方法も有効だ.

プレゼンの作成という作業は,何の価値も生み出さない付加価値ゼロの作業なので,要する時間はできるだけ短い方がよい.(アイデアが認められることが目的であり,プレゼンはその手段でしかない)ひとまず,プレゼン作成には必要にして最小の時間を費やし,主にプランの詳細詰めに時間を費やすべきだろう.